- 更新日 2024.06.26
- カテゴリー インフラ構築
Google Cloud(GCP)とは?主な機能と活用事例・メリット・注意点について解説【2024年最新版】
「ビッグデータといえばGCPというイメージだけど、結局何ができるかわからない」
「自社に導入する際のリスクやデメリットはあるの?」
「AWSやAzureも有名だけど、機能やコストに大きな違いはある?」
GCPの導入を検討しているが、自社で使うメリットや導入後のイメージがつかずに導入をためらっている企業は多いですよね。
また、リスクやデメリットもあまり纏まっておらず、下手に既存システムと入れ替えて業務に支障が出たりコストがかさんだりしないか心配な方もいるでしょう。
そこで、日常からGCPを活用しているクラウドエンジニアへの取材情報をまとめ、GCP導入におすすめの企業を解説します。
- 高速かつ低コストで事業を推進したい企業
- ビッグデータを活用したい企業
- オンプレミスからクラウドにシステムを移行したい企業
この記事を読めば、GCPを導入するべきか判断できるので、ぜひ参考にしてください。
※GCPを使った開発に不安がある方は、システム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、最適な開発会社を提案します。相談料・紹介料は一切かかりません。
Google Cloud(GCP)とは
まずは、Google Cloud(GCP)についてのイメージを掴んでもらうために、GCPの概要から説明します。GCPは2010年にGoogleがリリースしたクラウドサービスです。業界のリーダーであるAmazon Web Service(AWS)より2年遅く、Microsoft Azureより2年早くサービスをリリースしました。
2022年Q1期のクラウドインフラストラクチャーのシェアを見ると、GCPは10%でした。業界トップのAWSや2位のAzureと比較すると、大きな差があります。
GCPの業界シェア
GCPは、Google App Engine(GAE)というWebアプリケーションのホスティングサービスからスタートしました。GAEは拡張やOSの管理をプラットフォーム側が責任を持って実施するため、利用者はアプリケーション部分のみに集中できるというPaaSサービスです。
また、2011年にはBigQueryが登場しました。BigQueryは元々はGoogleの社内システムでした。Googleは、YoutubeやGoogle検索、Gmailなどのビッグデータを扱っており、その仕組みを誰にでも使えるようにしたのがBigQueryです。
GCPの主要なサービス
GCPは、小さなものからグローバルな大規模アプリケーションまで、多くのシステムで採用されています。現在160以上のサービスが存在します。
全ては説明できないので、GCPを代表する8のサービスに絞って紹介します。
主なサービス |
概要 |
メリット |
GCE (Compute Engine) |
インターネット経由で 使用できる仮想サーバー |
サーバーを自社で用意する必要がない |
GAE (App Engine) |
プログラムを用意するだけで アプリケーションが立ち上がる |
サーバーやデータベース、 ネットワークを用意する必要がない |
GKE (k8s Engine) |
コンテナ管理サービスである k8sを使用できるサービス |
コンテナのデプロイや拡張を自動化できる |
Cloud Functions |
サーバレスなプログラム 実行環境 |
OSやミドルウェアの管理不要で コード実行が可能 |
GCS (Cloud Storage) |
堅牢なオンラインストレージ |
ストレージを自社で用意する必要ない |
BigQuery |
ビッグデータ分析用の データウェアハウス (データ分析用のデータベース) |
扱えるデータ量が多く、 処理が高速で低コスト |
Looker Studio |
直感的に扱うことのできる BIツール |
専門知識がなくても表やグラフを 用いたダッシュボードが簡単に作成可能 |
Dataflow |
分析のために、データの 抽出・変換・書き出しができる ETLサービス |
サーバレスかつフルマネージドで 管理コストがかからず、GCPの 他サービスとの連携も簡単に可能 |
Stackdriver |
GCPリソースや アプリの監視サービス |
死活監視やパフォーマンス監視などを 簡単に設定できる |
GCE(Compute Engine)
Google Compute Engine(以下GCE)は、GCP上で仮想サーバーを作成できるIaaSのサービスです。起動した仮想サーバーを用いて、アプリケーションを動かしたり、バッチなどのプログラム処理を実行できます。ubuntuやWindows、Redhatなど、様々なOSのサーバーを使用することができます。
従来のオンプレミス方式では、自社のデータセンターにサーバーを用意する必要があり、多くの初期費用と所要時間がかかっていました。GCEを利用することで、安くスピーディーに開発を開始できます。
また、GCEでは自動スケーリングやマシンタイプ(スペック)の変更なども簡単かつ迅速にできます。これによって、時期やニーズなどに合わせて柔軟にビジネスを拡大・縮小していくことが可能となります。
参考:GCEのWebコンソール画面
また、マーケットプレイスの仮想イメージを指定することで、Wordpressが導入されている仮想サーバーを立ち上げてブログをホストしたり、WAFが導入されているされている仮想サーバーを立ち上げたりと、様々な用途の仮想サーバーを使用することができます。
参考:マーケットプレイスから使用できる仮想イメージ
GAE(App Engine)
Google App Engine(以下GAE)は、Webアプリケーションのホスティングサービスです。GAEはPaaSであり、OSやミドルウェア、データベースを自動で管理、更新してくれます。
そのため利用者はITインフラの管理を気にすることなく、アプリケーションの開発に集中することができます。また、拡張や負荷分散なども自動で実施してくれるため、運用のコストを抑えられるのもメリットです。
参考:GAEのWebコンソール画面
GAEは、小規模でシンプルなシステムをホストするには向いています。一方でPaaSサービスであるため、例えばネットワーク設定などの細かいチューニングなどが必要な場合は、適していません。
大規模で複雑なエンタープライズなどのシステムについては、IaaSであるGCEやGKEなどのコンテナサービスを用いた方が良いでしょう。用途に応じて、PaaSであるGAEとIaaSをうまく使い分けてみてください。
GKE(Kubernetes Engine)
Google Kubernetes Engine(GKE)は、Kubernetesという技術を使ったDockerコンテナの管理サービスです。
ITにおけるコンテナは、サーバーで中に隔離された領域を確保し、そこでアプリケーションを起動する仮想化技術です。サーバーの中に仮想の別の小さなサーバーを起動するようなイメージ。
従来、OSやミドルウェアのバージョンの小さな差異でアプリケーションに大きな影響をもたらすことがありましたが、コンテナを使うことでこのリスクを回避することができます。コンテナ技術の中で、最もスタンダードなのがDocker。
コンテナは便利な一方、複数のコンテナを管理する場合は考慮することが非常に多いです。例えば、負荷分散や自動拡張、コンテナ間の通信制御など。これらをまとめて管理できるのがKubernetes(k8s)。GKEを使うことで、GCP上でk8sを使用することができます。
参考:GKEのWebコンソール画面
Googleは、Dockerが注目を浴びる以前から社内で独自のコンテナ技術を使っていました。Google社内のコンテナ管理ツールをDockerに対応させ、世に公開したのがk8sです。
Cloud Functions
Cloud Functionsは、サーバレスのプログラム実行環境を提供するサービスです。サーバーやOS、ミドルウェアの管理を気にする必要がなく、あたかもサーバーがないように感じるため、サーバレスと言います。実行されるプログラムだけを用意すればいいため、開発者はコーディングに集中でき、高速なシステム開発が可能になります。
対応している言語は、PythonやNode.js、Go、Java、.NET、PHP、Rubyです。
言語 |
対応バージョン |
Python |
3.7 3.8 3.9 3.10 |
Node.js |
18 16 14 12 10 |
Go |
1.19 1.18 1.16 1.13 1.11 |
Java |
17 11 |
.NET |
6.0 Core 3.1 |
PHP |
8.1 7.4 |
Ruby |
3.0 2.7 2.6 |
負荷に応じて自動的に拡張し、料金についても従量課金性で、使った分だけの支払いです。そのため、「サーバーの管理をしたくない」、「使わない時は料金が発生しないサービスを使ってコストを抑えたい」「アクセスに応じて柔軟に拡張して欲しい」という要望を叶えることができます。
デメリットとしては、実行最大時間の上限が540秒である点や、プログラム言語が制限される点が挙げられます。
参考:Cloud FunctionsのWebコンソール画面
GCS(Cloud Storage)
Cloud Storage(以下GCS)は、Webから使用可能なストレージサービスです。ログなどのテキストデータから画像や動画ファイルまで、多くのユースケースに対応しています。
データは最低2つのゾーンで冗長化され、99.999999999%もの耐久性を誇ります。
GCSには4つのストレージクラスがあります。一般的なStandard Storage、あまりアクセス頻度の高くないデータを格納するNearline Storage、ほとんどアクセスしないデータを格納するColdline Storage、原則使用しないデータを格納しておくArchive Storageがあります。
Standard Storageは保管料金が他クラスより高い一方で、データの取り出しには料金がかかりません。Nearline、Coldline、Archiveの順で保管料金は安くなりますが、読み取りや書き出しの際の料金が割高になります。データの利用頻度に応じて、ストレージクラスを使い分ける必要があります。
GCSのライフサイクルマネジメントを使うと、Standard Storageに保存していたデータを一定期間後にArchive Storageに移動させる、といったことができ、コストを最適化できます。
参考:GCSのWebコンソール画面
BigQuery
BigQueryは、データウェアハウスのサービスです。データウェアハウスとは、ビッグデータを分析するためのデータベースのことです。
BigQueryは、元々Googleの社内システムとして動いていたDremelというデータ分析のシステムを、公開して一般のユーザーも利用できるようにしたものです。
ユースケースとしては、例えばアクセスログをBigQueryで分析してユーザーのニーズを捉えたり、Google AnalyticsのデータをBigQueryで分析して可視化したりと、多くのデータ分析で役に立ちます。
BigQueryではテラやペタ単位の大規模データを、数秒〜数分で分析することができます。また、CSVファイルやJSONファイルなどに加え、Google DriveやGCS、AWSのS3やAzureのBlob Storageなどの他クラウドのストレージサービスともデータ連携ができます。
参考:BigQueryのWebコンソール画面
BigQueryの注意点としては、思わぬ高額料金が発生するというリスクが存在します。BigQueryは保存データだけでなく、クエリごとに対象となるデータ量に応じて課金されます。クエリをあまり考えずに都度ビッグデータに全件検索をかけていたら、月100万円以上の請求が来たという怖い話もあります。クエリをきちんと設計し、コストパフォーマンスの良い分析を行うことをおすすめします。
Looker Studio
Looker Studioとは、GCPが提供するBIツールで、インターネット上からグラフや表などのダッシュボードが作成・確認できます。以前はGoogle Data Portalというサービスだったのが、2022年10月にLooker Studioに名称が変更されました。
Looker Studioでは、さまざまなデータからグラフや表などを直感的に作成・配置することができ、イケてるダッシュボードを作成することができます。データソースは非常に充実しており、GoogleスプレッドシートやGoogle Analytics、BigQuery、Google AdやMySQLデータベース、PostgreSQLデータベース、AWSのRedshiftからのデータも使用することができます。
画像引用:GCP
SQLやデータ分析などの専門知識がなくても表やグラフを作成できるよう、UIが作り込まれています。また、Googleアカウントさえあれば原則無料ですぐ始められるため、コストをかけずにBIを試すことができます。
Dataflow
Google Dataflowは、GCPのETLサービスです。ETLというのは、Extract(データ抽出)、Transform(データ加工)、Load(データ書き出し)の頭文字を取ったものです。平たくいうと、データ分析の前段階として、データを抽出して、整形して扱いやすくするよう処理を行うパイプラインサービスです。
Dataflowはマネージドサービスであり、定義されたパイプラインの構成に従って環境を自動構築してくれます。またサーバレスで処理が行われます。負荷に応じた自動拡張(=オートスケーリング)機能も備えています。
DataflowのConsole画面
※公開されているCovid-19のグローバル時系列データをサンプルとして使用
Dataflowは、GCPのさまざまなサービスと連携することができます。BigQueryはもちろんのこと、GCSやキューサービスのPub/Sub、データベースであるCloud SpannerやBigtableなどをサポートしています。
また、GCS上にファイルが配置されたらパイプラインを実行し、加工後データをデータウェアハウスに格納するなど、イベントをトリガーにした実行もできます。
Stackdriver
Stackdriverは、仮想サーバーなどのクラウドサービスのロギングや監視を提供するモニタリングサービスです。GCPだけでなく、AWSリソースの監視も行うことができます。元々は、StackdriverというAWS監視ツールを、GCPが買収して自身のサービスとして提供したという背景があり、AWSにも対応しているのです。
ロギング機能を使うと、GCPサービスのログや仮想サーバーのアプリログ・OSログなどを監視できます。また、特定のキーワードやエラーコードによるフィルタリングや検索もでき、BigQueryやGCSなどに簡単にエクスポートすることもできます、
参考:StackdriverのWebコンソール画面
リソース監視機能では、CPUの使用率などのパフォーマンスやリソースの状況などをグラフなどで視覚的に確認することができます。これらのグラフを並べてダッシュボードを作成したり、アラートをセットすることもできます。アラートはEメールやSMSに加え、Slackにも送信できます。
GCP(Google Cloud)の特徴
ここまでで、GCPにはどのようなサービスがあるのかご紹介しました。続いては、GCPを導入するメリットや考慮すべきデメリットを詳しく解説します。
GCPのメリット
特定の領域での実績やパフォーマンスの優位性
GCPを使う大きなメリットの1つは、Googleとして培っているデータ分析などの特定の領域に非常に強いことが挙げられます。Googleは以前から、YoutubeやGoogle検索、Gmailなどのビッグデータを自社で分析・活用しており、そのノウハウは長年蓄積しています。
例えばBigQueryは、元々Googleの社内で使っていたDremelという大規模なデータ分析システムを一般のユーザー向けでも利用できるようにしたサービスです。そのような歴史の中で最適化されていることもあり、BigQueryは他クラウドサービスと比較しても、低コストかつ高パフォーマンスでビッグデータを分析することができます。
料金の安さ
GCPはクラウド業界でも後追いの立場ということもあり、サーバやデータベースの価格が他クラウドベンダーと比べて安価な場合があります。
例えばLinuxの仮想サーバーを見てみると、他社よりも2割程度安く使うことができます(従量課金、2 vCPU 7.5~8Gメモリの場合)。データベースについても、オープンソースのMySQLやPostgreSQLなどを使用する場合は、他社よりも2割程度安価に使用できます。(従量課金、4 core 16Gメモリーの場合)
サービス |
GCP |
AWS |
Azure |
仮想サーバー (Linux) - 従量課金 |
$62.3/月 ※n1-standard-2 (2 vCPU / 7.5G Memory) |
$78.3/月 ※t3.large (2 core / 8G Memory) |
$79.6/月 ※B2ms (2 core / 8G Memory) |
データベース (OSS) |
$526/月 ※4 core 16 GB Memory |
$654/月 ※db.t3.xlarge (4 core / 16G Memory) |
$794/月 ※4 core 20.4 GB Memory |
また、サーバレスサービスに関しても、無料枠が多いです。
例えばGCPのCoud Functionsは、月に200万回まで無料枠で呼び出すことができます。AWSやAzureのサーバレスサービスが月100万回呼び出しまでなので、倍の呼び出しまで無料枠でカバーすることができます。また、コンピューティング時間に対する料金も、他サービスの2割程度と、安く設定されています。
GCPのデメリット
アクセスできる日本語の情報の少なさ
GCPを使う際の注意点としては、英語のドキュメントが多く、日本語のドキュメントはまだ整備されていない場合があることが挙げられます。しかしながら英語のドキュメントは非常に体系的に整理されていますので、必要な情報を得るのはそこまで難しくありません。この機会に英語が苦手な方は練習としてGCPのドキュメントを読み込んでみてはいかがでしょうか。
またGCPのサービスは、AWSやAzureに比べてインターネットに公開されている「〜をやってみた」系の知見が少ないことも欠点です。このような先人が書いた記事を参考にスピーディーに開発を進めるという現場は多いため、0からPoCをして設定を吟味しなければいけない場合が多くなってしまうというデメリットがあります。
例えば一番基本的な仮想サーバーについて、国内の技術プラットフォームである「Qiita」で検索してみると、「Google Compute Engine」や「GCE」が約1600-1800件であるのに対し、「Amazon EC2」の検索結果が約11500件、「Azure VM」の検索結果が約2000件と、特にAWSには大きな差をつけられています。そのため、開発会社やフリーランスのエンジニアを見つけるのも、AWS/Azureに比べてやや苦労するかもしれません。
Qiitaでの検索結果(GCP)
Qiitaでの検索結果(AWS)
Qiitaでの検索結果(Azure)
サービスのカバー範囲
例えば、サービス数に関してはAWSやAzureが200以上のところ、GCPは160程度です。もちろん基本的なサービス領域に関してはGCPは十分にカバーしています。一方で特定の領域・サービスの種類については、選択と集中を行なっている印象を受けます。。例えばIoT領域については、AWSが10以上のサービスが存在するのに対し、GCPは数個のサービスしか存在しません。
GCPは、IoT Coreというサービスを2023年8月に終了することも発表しており、IoT領域には今後注力しないのではないかという推測もなされています。
また、メディア系のサービスも1,2個しか存在しないことや、AWSやAzureには存在する米国政府専用のリージョンがGCPには存在しないことからも、サービス領域についてはAWS/Azureと比較した際のデメリットと言えるでしょう。
GCPのIoTサービス
AWSのIoTサービス
GCP導入に向いている企業の特徴
データ分析を中心にクラウド活用をしていきたい企業は、GCP導入に向いているでしょう。
やはり、Googleの社内システムで培った長年の技術が凝縮されているBigQueryなどのデータ分析サービスについては、GCPの大きな強みです。
また料金面についても、メリットが享受できる場合があります。IaaSである仮想サーバーやデータベースを多く利用する企業や、データ分析を多く行う企業については、GCPを採用することで大きなコストメリットを得られる場合があります。
例えば、英紙「Daily Telegraph」を発行する大手新聞社Telegraph Media Groupは、システムをAWSからGCPへ移行しました。これはデータ分析のためのサービスの豊富さや、価格が理由だと言われています。
GCPの成功事例
ここでは実際にGCPを導入して自社の課題を解決した事例を3つ紹介します。よりリアルに自社への導入をイメージできるはずなので、ぜひ参考にしてください。
デジタルバンクとして、日本で初めてGCPに勘定系を構築
「みんなの銀行」は、ふくおかフィナンシャルグループが 2019年8月に設立したデジタルバンクです。デジタルネイティブ世代をターゲットとして、スマートフォンだけで手続きが完結する銀行アプリケーションです。
その中でも最もインパクトが高かったのが、銀行の勘定系システムにパブリッククラウドを利用したことではないでしょうか。これは日本で初めての試みでした。
画像引用:PR Times
「みんなの銀行」は、開発当初からBanking as a Service(BaaS)という構想を持っていました。これは、APIを通じて金融サービスと異業種サービスをどんどん連携させていこうという考え方に基づいています。そのため、小回りがきくパブリッククラウドの中でも、BigQueryやCloud Spannerなどの特化したサービスがあるGCPが採用されました。
画像引用:GCP
銀行システムとして、システムを停止させないための手堅い冗長化を、GCPを用いて実現しました。また、拡張性の高いGKEを使用し、ITインフラの管理に時間を取られることなく開発に集中する仕組みを整えることができました。
今後はAIの更なる活用を、GCPのVertex AIなどのサービスを使って進めていきます。
リリースからわずか4ヶ月の2021年9月の時点でダウンロード数26万件、口座開設数11万件。銀行の勘定系をパブリッククラウドで実現した初めての事例というインパクトももちろんですが、今後の発展からも目が離せないサービスの1つです。
GCPを活用してタブレットをレジ代わりに
リクルートライフスタイルは、じゃらんやホットペッパーなどに代表される旅行・印象・美容・通販などの幅広い領域のサービスを提供しているリクルートのグループ企業です。
レジが非常に高価であるという課題に目をつけ、安価なタブレットをレジ代わりに使うための「Airレジ」アプリを無償で提供しています。特に中小の飲食店などには非常にありがたいアプリであり、3年半で30万アカウントのユーザーを獲得しています。
「Airレジ」に続いて、「Airメイト」というサービスの提供も始めました。「Airメイト」は、タブレット上で店舗の状況が一目で確認できるサービスです。売上・利益・顧客数・客単価・原材料と人件費の比率など、経営において必要な項目を手軽に確認できます。
今まで飲食店では、このような情報は年に数回算出できれば良い方でしたが、「Airメイト」を使うことで日次で情報を取得できるようになりました。また、搭載している需要予測機能により、売上目標に対して早い段階で施策を打てるようになりました。
画像引用:GCP
「Airメイト」は、GCP上で動いています。「Airメイト」はビッグデータを扱うため、BigQueryなどを最大限活用することができます。またマネージドサービスを中心にアーキテクチャを組んだことで、運用費用を減らし、将来の事業拡大の際の拡張性も持たせることができました。
画像引用:GCP
GCP上でデータをうまく活用して事業を大きく変えた良い事例ではないでしょうか。
GCPを活用することで100億行のデータの取り扱いが可能に
株式会社MonotaRO(モノタロウ)は、B2B向けの通信販売会社です。製造業や自動車整備業などの現場で必要な工具、部品、消耗品などを1900万点以上扱っています。2000年に住友商事とアメリカグレンジャー社の出資により設立されて以降、わずか5年で登録事業所は10万件を突破しました。
画像引用:モノタロウ
モノタロウはデータドリブンカンパニーを掲げ、早くからデジタルマーケティングに注力してきました。その中で、2008年に構築したオンプレミスのデータ分析基盤では、限界を感じるようになってきました。モノタロウの事業は拡大傾向にありデータ量も増えているため、月次のバッチ処理が24時間で終わらないなどの課題が発生していました。このような課題もあり、ビッグデータを高速に扱うことのできるBigQueryの採用を決めました。
2017年にBigQueryへの移行を開始し、100億レコードにも及ぶ社内のデータをBigQueryに集約しました。これにより、丸一日かかっていた処理が数十分で終わるようになり、月次のバッチ処理を日次で実施できるようになりました。これにより、より精度の高いデータ分析結果を元に次のアクションを決められるようになりました。
BigQuery導入後は、扱えるデータ量が10倍になり、ほぼ、自動で生成される分析レポートの数も10倍になりました。BigQueryの強みを生かしてデータ分析をおこなった良い事例ではないでしょうか。
GCPのまとめ
GCPの概要と主な機能、導入のメリット、成功事例について紹介しました。
- GCPはデータ分析領域に強みを持っており、BigQueryなどが特に有名である
- IaaSである仮想サーバーやデータベースなどは、他クラウドと比較して安価に使える場合がある
- ドキュメントや実績が、他クラウドと比較してまだまだ少ない
GCPは通常のIaaSからサーバレス、データ分析などの便利な機能を搭載しています。しかしながら、ネットワークなどのITインフラやクラウドに関する専門知識がないと使いこなせないケースも少なくありません。
自社の力だけではGCPを使いこなすのが難しいと感じたら、プロに外注することをおすすめします。開発会社選びに困った場合は、システム幹事にご相談ください。予算や目的から最適な会社をご紹介します。相談料などは一切かかりません。
コンサルタントのご紹介
岩田
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初心者の方でも安心してご相談いただけます。
必ず開発会社に発注する必要はありません。システム開発の相場の情報から最適な会社選びまで無料でサポートします。お気軽にご相談ください。
Q. Google Cloud(GCP)とは何ですか?
Google Cloud(GCP)とは、2010年にGoogleがリリースしたクラウドサービスのことです。小さなアプリケーションからグローバルな大規模アプリケーションまで、多くのシステムで採用されています。
Q. Google Cloud(GCP)のメリットは?
Google Cloud(GCP)のメリットは「特定の領域に関するデータ分析に強い」「他クラウドサービスと比べて安価」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
Definer Inc. | ライターチーム
専門分野: クラウド開発・クラウド移行(フルスクラッチ開発・自社SaaS提供・AI Ops構築)
外資IT企業出身のトップエンジニアが、企画・要件定義の上流から開発まで、総合的なITソリューションをワンストップ提供しております。また、AWS、Azure、GCPでのクラウド開発・移行、フルスクラッチなアプリ・システム開発を得意としています。「2025年の崖」を打破すべく、クラウドに関するお役立ち情報をお届けします。
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