受託開発とは?委託や請負、準委任契約との違いやフローを紹介

外部へのシステム開発の依頼を考えているものの、「受託開発」と「委託開発」の違いが曖昧になっている方もいるかと思います。

そこで本記事では、システム開発を発注したい企業に向けて「受託開発」について解説します。委託開発や請負、準委任契約との違いや、受託開発を依頼するフローなどを詳しくお伝えします。

なお、自社にあったシステム開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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目次
  1. 1. 受託開発とは?委託開発や他の開発形式との違い
    1. 1-1. 「委託開発」との違い
    2. 1-2. 「請負契約」との違い
    3. 1-3. 「準委任契約」との違い
    4. 1-4. 「SES契約」との違い
  2. 2. 受託開発を選ぶメリット
    1. 2-1. 開発工数を削減できる
    2. 2-2. 決まった予算内でシステムを開発できる
    3. 2-3. 開発できるシステムの幅が広い
    4. 2-4. 拡張性を見越した開発ができる
  3. 3. 受託開発を選ぶデメリット
    1. 3-1. 自社に開発ノウハウが蓄積されない
    2. 3-2. 運用・保守などの管理工数がかかる
    3. 3-3. 納品後の仕様変更や運営保守が難しくなる
  4. 4. 発注者が押さえておきたい受託開発の流れ
    1. 4-1. STEP1:システム開発会社に依頼する
    2. 4-2. STEP2:担当者との打ち合わせを行う
    3. 4-3. STEP3:見積もりを出してもらう
    4. 4-4. STEP4:システム会社が開発を始める
  5. 5. システム開発会社の失敗しない選び方
  6. 6. 【まとめ】受託開発と委託開発の違いやフローを紹介しました

受託開発とは?委託開発や他の開発形式との違い

受託開発とは、クライアントからの依頼内容をもとにシステム開発を行うことです。仕事を引き受けた側は、求められた内容に沿って成果物を納品したり、仕事を完成させたりすることで報酬を受け取ります。報酬はシステムを納品した時点で発生し、検収後に入金されるのが一般的です。

「委託開発」とは同義ですが、視点が異なります。受け手側の視点が受託開発、発注者側の視点が委託開発です。

受託開発

意味

クライアントからの依頼を元に開発を行うこと

契約義務

業務を完成させる

報酬の対象

納品された成果物・完成した仕事など

「委託開発」との違い

受託開発が、クライアントからシステム開発を請け負うことなのに対して、委託開発は、自分の代わりに外部の企業や個人に開発を依頼することを指します。前述のように視点が受注者なのか、発注者なのかが両者の違いです。

委託開発

意味

外部(企業や個人)に対して仕事を依頼すること

契約義務

引き受けた側が業務を完成させる

報酬の対象

納品された成果物・完成した仕事など

「請負契約」との違い

受託開発に似た言葉に、請負契約があります。両方とも、依頼された業務を引き受けることには変わりありませんが、報酬の対象が異なります。受託開発や委託開発は「業務の完成」が対象ですが、請負契約は「成果物」や「業務の完了」に対して報酬が支払われるのが一般的です。

請負契約

意味

依頼された仕事を引き受け、成果物を納品すること

契約義務

成果物の納品と業務の完了

報酬の対象

成果物と業務の完成

「準委任契約」との違い

準委任契約とは、依頼する側と引き受ける側が「特定業務」を行うことを約束する契約です。システム開発を例にあげると、「動作テストだけ委任する」「保守運用だけ委任する」など。依頼する側は「委任者」、引き受ける側は「受任者」と呼ばれます。業務を特定しない受託開発とは、そもそもの業務対象範囲が異なります

準委任契約

意味

特定業務を委託、受託する際に結ぶ契約

契約義務

特定の業務の遂行

報酬の対象

特定業務の遂行に対する労力や時間

「SES契約」との違い

SES契約とはSystem Engineering Serviseの頭文字をとった契約で、システムエンジニアとの契約に用いられます。ホームページの保守運用やシステム開発の要件定義といった特定の業務で用いられます。契約形態は準委任契約と同じです。

SES契約

意味

外部のエンジニアに業務を委託、受託する際に結ぶ契約

契約義務

ITに関する特定の業務の遂行

報酬の対象

特定業務の遂行に対する労力や時間

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受託開発を選ぶメリット

受託開発を選ぶメリット

自社にシステム開発部門を持たない企業であっても、受託開発を選ぶことで目的にあったシステムを開発可能です。ここでは、企業が受託開発を選ぶメリットをご紹介します。

開発工数を削減できる

システムの受託開発を依頼することで、開発自体の工数を大幅に削減できます。社内にエンジニアがいなかったり、新システムの開発に人的リソースを使えなかったりする企業もあるでしょう。人材リソースが少ない中で社内対応した場合、他の業務に支障が出てしまいます。

請負契約やSES契約だと、契約対象が「特定の業務」に絞られるため、必ずしも発注する側の開発工数削減につながるとは限りません。その点、受託開発では、システム開発自体の工数を削減しやすく、依頼企業は本来のコア業務に集中できるでしょう。開発は外部に任せて、運用や保守だけ自社で行うといった企業もあります。

決まった予算内でシステムを開発できる

受託開発では、先方と費用をすり合わせた上で契約を行います。あらかじめ予算感を伝えておけば、その予算にあったシステム開発を進めてくれるため、予算計画が立てやすいです。

例えば請負契約やSES契約は「特定の業務」が対象となるため、業務が遅れたり修正が発生したりする場合、開発全体に影響が出てしまいます。期間が伸びることで想定以上のコストがかかる場合もあるでしょう。

受託開発では、クライアントと合意していれば、納期が伸びても追加費用は発生しません。契約後に追加コストが発生することもなく、オプションを追加する場合でも、お互いの合意を得たうえで開発を進めるため安心です。

開発できるシステムの幅が広い

受託開発ではゼロからオーダーメイドでシステムを開発する、スクラッチ開発も依頼可能です。自社の業務フローに最適化したシステムを構築できます。

拡張性を見越した開発ができる

受託開発は将来的なシステムの拡張性を踏まえた上で、開発計画を立てられやすいのが特徴です。最初は必要最小限の機能でシステムを立ち上げ、ユーザーの反応を見ながら機能を拡張していくといった開発が可能です。

受託開発を選ぶデメリット

受託開発を選ぶデメリット

受託開発の依頼にはメリットがある反面デメリットもあります。特に次の2つには注意しましょう。

自社に開発ノウハウが蓄積されない

外部にシステム開発を依頼するため、自社にノウハウが蓄積されません。したがって自社開発部門を今後伸ばしていきたい企業は、受託開発ばかりではなく、他の形態の開発もフェースごとに取り入れるといった工夫が必要でしょう。

運用・保守などの管理工数がかかる

受託開発は他の開発形式と比べて、運用・保守などの管理工数がかかります。例えば請負契約やSES契約では、運用・保守業務が含まれるかどうか契約内容によって異なります。契約に含まれないケースも多いため、その場合、運用・保守の管理工数は考慮に入れる必要がありません。

その点、受託開発は運用・保守業務も含まれるため、想定した上で業務を進める必要があります。

納品後の仕様変更や運営保守が難しくなる

受託開発では、こちらの要望に沿って先方が開発を進めますが、あくまで開発を進めるのは先方です。相手に依存することになるため、納品後の仕様変更や運営保守の難易度が上がります。希望どおりのシステムを納品してもらうためにも、要件定義のすり合わせや運用保守の進め方などまで話し合っておきましょう。

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発注者が押さえておきたい受託開発の流れ

発注者が押さえておきたい受託開発の流れ

受託開発の流れを知っておけば、システムの発注もスムーズに進みます。発注者が押さえておきたい受託開発の流れは以下のとおりです。

STEP1:システム開発会社に依頼する

まずは、開発会社にシステム開発を依頼するところから始まります。自社にあった開発会社を選ぶためには、開発会社をリサーチし、希望のシステムを作ってくれるのか、どのくらいの予算感で対応してくれるのかなどを確認する必要があります。開発会社への依頼フォームや問い合わせ窓口から相談してみましょう。

STEP2:担当者との打ち合わせを行う

受託開発の依頼が決定したら、担当者と打ち合わせを進めましょう。特にシステムの要件定義のすり合わせは重要です。要件定義とは、システム開発における「目的」を指し、ここで求める条件を明らかにします。自社としてシステムに何を求めるのか、必要な機能は何なのか、どの程度の予算を考えているのかなど打ち合わせを行いましょう。

STEP3:見積もりを出してもらう

システムの依頼内容が定まったら、見積もりを出してもらいます。見積書を作ってもらったら、以下の項目が記載されているかチェックしましょう。

  • 開発にかかる料金
  • 機能ごとの料金
  • 実装する機能や基盤
  • 開発環境や動作環境
  • テストの方法
  • 保証期間
  • 開発スケジュール

大まかな内容しか記載されていない場合は要注意。希望と異なるシステムが納品されたり、後で追加コストが発生したりする可能性があります。この段階で疑問点や不明点はすべて聞いておきましょう。

STEP4:システム会社が開発を始める

見積書の確認を終えたら、先方による開発がスタートします。ただし開発が始まったからといって先方に丸投げし、自社から何もアクションしないのはリスクです。先方のシステム開発中も打ち合わせを行いましょう。希望の機能を滞りなく実装できているか、追加で必要な開発はないかなど、進捗状況の確認もあわせて打ち合わせておくことが大切です。

システム開発会社の失敗しない選び方

システムの受託開発を依頼するにあたって、どのような企業を選ぶべきか悩む方もいるでしょう。システム開発会社の失敗しない選び方として、以下のポイントを意識してみてください。

  • 希望のシステムに近い実績やスキルがあるか
  • 開発会社の得意分野と一致しているか
  • 開発会社の業績に問題はないか(安定しているか)
  • 担当者との相性はよいか
  • 納品後についても考えてくれるか
  • 3〜4社から見積もりを出してもらうのが理想

開発会社によって得意分野や実績、サービス内容はさまざまです。自社の目的にあっているか調べた上で、最終的に自社にマッチした会社を選ぶためにも、3〜4社の開発会社に見積もりを出してもらいましょう。

なお、システム開発会社の選び方についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:システム開発会社の選び方7ポイント|依頼の準備と注意点も解説【2024年最新版】

【まとめ】受託開発と委託開発の違いやフローを紹介しました

受託開発と委託開発、請負、準委任契約など契約形態によって意味は異なります。受託開発を選択することには、システム開発工数を削減できたり、予算計画を立てやすかったりとメリットが多いです。しかしながら、自社にノウハウが蓄積されない、納品後の仕様変更が難しいなどのデメリットもあるので、自社の要望に応えてくれるシステム開発会社を選ぶことが大切です。

なお、自社にあったシステム開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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